【この記事は2022年1月8日現在のものです】
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【目次】 TOPICS
(1)まん延防止等重点措置等の最新情報
(2)今後の「自治体からの発表」を正しく理解しよう*************************************************************
(1)まん延防止等重点措置等の最新情報
新型コロナウイルス新規陽性者数の増加を受けて、1月9日より沖縄県、山口県、広島県の3県に「まん延防止等重点措置」が発出されます。また、その他一部の自治体においても、感染予防を目的とした規制が強化されており、ブライダル事業への影響が懸念されます。
これらの動きの一部をまとめます。
1.まん延防止等重点措置
沖縄県、山口県、広島県の各知事は「まん延防止等重点措置」の発出を受けて、「9日~31日」の期間を設け、各種要請を発表しました。
沖縄県の発表(対象/全域)
山口県の発表(対象/岩国市、和木町)
広島県の発表(対象/広島市、呉市等)
このうち山口県と広島県は、対象エリアの「飲食店」に対して営業時間短縮の他、酒類提供停止を要請しています。内閣府は7日付の県知事あて書面において「結婚式場やホテルに対しても飲食店と同様の要請を行うこと」としていますので、結婚式場・ホテルに対しても同じ内容の要請が出されるものと考えられます。これにより、対象期間中に対象地域内で開催される結婚式での酒類の提供は極めて難しくなることが予想されます。
※11ページ目に記載があります。
2.その他自治体からの協力依頼
その他の自治体でも感染対策の強化策が検討または発表されておりますが、例として【東京都】の動きをご紹介します。
東京都は「11日~31日」の期間を設け、結婚式場に対して主に以下のような協力依頼等をしています。(上記資料の4ページ参照)
★「感染防止徹底点検済証」の交付を受け掲示している店舗向け
・同一グループ同一テーブル「4人以下」とする協力依頼
・「5人以上」の場合はワクチン接種証明等の活用を強く奨励
★上記以外の店舗向け
・同一グループ同一テーブル「4人以下」とする協力依頼
・酒類の提供・持ち込みは「11時~21時」とする協力依頼
★共通
・業界ガイドラインの遵守を要請
なお、「同一グループ同一テーブルの人数」を披露宴においてどのように解釈するべきかについては、以前経産省から「一卓あたりの人数である」との見解が示されており、今回もそれに沿って考えればよいものと考えます。
自治体ごとに要請や協力依頼の有無または内容は異なりますので、「今自分たちの婚礼施設に対してどんな要請や協力依頼がなされているのか(いないのか)」を正しく把握するようにしてください。
(2)今後の「自治体からの発表」を正しく理解しよう
「今出されている要請等」を正しく把握した後は、その「意味」を正しく理解し、新郎新婦に正しく説明できる準備が必要となります。
その第一歩として、自治体から出される要請等の「性質の違い」を押さえておきましょう。
自治体から出される要請等には「法律に基づき出されるもの」「そうでないもの」、または同じく「法律に基づき出されるもの」であっても「どの条項に基づき出されるものなのか」による罰則の有無等の性質や効果の違いが生じます。
これらの各性質を「効力の強い順」に並べて解説いたします。
性質(1) 緊急事態宣言に基づく要請・命令
新型インフルエンザ等対策特別措置法(特措法)第45条を根拠にしたもので、内閣総理大臣の発出する緊急事態宣言の対象となった都道府県の知事は、当該都道府県全域の住民や事業者に対して必要な「要請」を出すことができ(第2項)、従わない者には罰則(30万円以下の過料)の伴う「命令」を出すことができます(第3項)。
また、上記の「要請」の内容には、営業時間の短縮や酒類提供の停止の他、営業そのものを止めさせる「休業の要請」も含まれ、特措法の中では最も強い効力をもつと言えます。
現時点においては、この「要請」発出の前提となる緊急事態宣言は発出されておりません。
性質(2) まん延防止等重点措置に基づく要請・命令
同じ特措法第31条の6を根拠にしたもので、内閣総理大臣の発出するまん延防止等重点措置の対象となった都道府県の知事は、対象となる市町村や地域を指定して、対象の住民や事業者に対して必要な「要請」を出すことができ(第1項)、従わない者には罰則(20万円以下の過料)の伴う「命令」を出すことができます(第3項)。
ただし、性質(1)と異なり、この「要請」には「休業の要請」は含まれません。
現時点においては、沖縄県全域、山口県及び広島県内の一部を対象に、この性質の「要請」が出されています。
この「要請」は「特措法に基づき出されたもの」であるため、法令遵守(コンプライアンス)の観点からは事業者側に裁量の余地は少なく、ブライダル事業者としては、要請に沿って提供するサービス内容の変更をせざるを得ないものと考えます。
性質(3) その他特措法に基づく「協力の要請」
緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の対象か否かを問わず、都道府県知事は、特措法上の要件を満たせば、当該都道府県内の住民や事業者に対して、感染拡大防止に必要な「協力の要請」を出すことができます(第24条第9項)。
ただし、「協力の要請」に従わない者に対して「命令」までを出すことはできず、罰則も課せられません。
このように性質(1)や(2)の「要請」と比べるとその効力は一段落ちると言えますが、「特措法に基づき出されたもの」である点は変わりなく、法令遵守(コンプライアンス)の観点からは事業者側が「罰則がないのだから従わない」などと突っぱねるのは相当困難だと考えられます。
現時点においては、例として東京都は「業界ガイドラインの遵守」に関して、この「協力の要請」が出されています。
性質(4) 法律に基づかない「協力依頼」「はたらきかけ」「強い奨励」等
上記3つの「要請」等とは別に、都道府県知事が独自に「協力依頼」「はたらきかけ」「強い奨励」等の言葉を用いて、住民や事業者に協力を依頼することがあります。
現時点においては、例として東京都は「感染防止徹底点検済証」の交付を受け掲示している飲食店等に対して「同一グループ同一テーブル4人以下の人数規制」や「5人以上の場合におけるワクチン接種証明や陰性証明の活用」等の「協力依頼」や「強い奨励」を発表していますが、これらは「法律には基づかない協力依頼等」に留まります。
だからといって「守らなくてもよい」と申し上げるつもりはありませんが、法律に基づかない分、要請の度合いは一段下がるのは間違いありませんので、ブライダル事業者としては、これら協力依頼の「目的」を踏まえ、各式場の特性に即した感染予防対策を講じつつ結婚式サービスを提供していけばよいものと考えます。
このように自治体から出される「要請」等には効力の違いがあるので、「この要請の性質はどの分類に当てはまるのか?」を正しく認識した上で対応を決め、新郎新婦にも正確な情報に基づいて説明していく姿勢が求められると思います。
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