【この記事は2021年9月13日現在のものです】
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【目次】 TOPICS 「クーリングオフ」の基本を学ぶ入門編 *************************************************************
「クーリングオフ」という言葉を聞いたことがありますか? お客様から「クーリングオフは適用となりますか?」などと質問されて、
どう答えればよいか悩まれた経験はありませんか?
こういったご相談について、一度ここで整理いたします。
(1)「クーリングオフ」とはなに?
「クーリングオフ」とは、契約した後に一定期間、無条件で、またノーペナルティで解除できる制度です。
要するに、契約した後に「やっぱりや~めた」と言えるという制度です。
★クーリングオフ制度を説明する条項例★
お客様は、本契約の締結日から●日以内であれば、解約料等一切のご負担なく、いつでも本契約を解約することができます。
厳密には「クーリングオフ」という言葉は法令上にはなく、特定商取引法、宅地建物取引法や保険業法等で、各々この制度について規定されています。法律で規定される特定の取引に限っては「クーリングオフ」制度を定めることが義務付けられ(または契約書に規定されていなくても強制的に適用され)、購入者等はその条件の中において「契約の撤回」をすることが認められています。
主な「クーリングオフ」の対象取引は以下の通りです。
・ 訪問販売(キャッチセールス)
・ 電話勧誘販売
・ 結婚情報提供などの特定継続的役務提供
・ 宅地建物取引
・ 保険契約
などです。
いずれも「意思に反して契約してしまいやすい」、「サービスの提供を受けてみないと要否が判断しにくい」または「きわめて高額な取引で慎重さが必要となる」などの”特殊な事情”が認められる契約ばかりです。
(2)婚礼関連の契約は「クーリングオフ」の設定が義務付けられるのか?
ここはとても大切なポイントですのではっきりしておきますが、
一般に婚礼関係でお客様と締結される契約は「クーリングオフ」設定義務の対象外です。したがって、婚礼事業者は規約等において「クーリングオフ」の制度を設定する義務はありません。
この点、特定商取引法で「結婚情報提供」のサービスが対象とされていることから誤解が生じやすいのですが、この「結婚情報提供」とは「期間2カ月を超えて5万円以上の報酬で『結婚相手等の情報』(注:『結婚式に関する情報』ではない)を提供するサービス」を指すため、結婚が決まったカップルに向けて提供される(私たちが携わる)結婚式関係のサービスとは異なります。
もちろん、いきなり訪問して「結婚式しませんか~」などと上記の「訪問販売」等の特殊な方法によって結婚式の営業をし、契約を締結していれば「クーリングオフ」の適用対象になりえますが、結婚式業の性質から、そのような営業方法はほぼ考えられません。
一般的に展開されている「会場やサロン、またはドレスショップにお越しいただいたお客様」に対して営業活動を行うというスタイルはこれに該当しませんので、「クーリングオフ」の設定が義務付けられる契約には該当しないのです。
たまに「お客様から『結婚式関係の契約はクーリングオフの適用対象のはずだ!』と指摘を受けたのですが」というご相談をいただきますが、それは、ほぼ例外なくご指摘された方の認識違いによるものですので、上記の通りご説明いただければ足ります。
(3)では「クーリングオフ」制度は一切設けない方がよいのか?
ただ一部の会場やドレスショップの規約には「契約から●日以内であれば解約料不要で解除できる」というような「クーリングオフ」的な契約条件が見受けられます。
これらは誤った、排除すべき条項なのでしょうか?
結論から言えば、そうではありません。
私たちブライダル事業者は「クーリングオフ」制度を定める義務は負わないけれども、敢えて導入することは否定されていません。
つまり、義務ではないけれど、敢えて自ら「クーリングオフ」を契約条件に取り入れることは問題ないのです。
では、なぜわざわざ「クーリングオフ」制度を採り入れる事業者さんがいらっしゃるのでしょう?
その多くの理由は、ズバリ、『営業上の効果』です。
たとえば、週末日曜日の遅い時間に、ドレスショップで「どのドレスにするか」を悩んでいるお客様がいらっしゃるとします。閉店時間も近づく中で、お客様としてはもし契約をしないままだと「明日別の方が契約してしまうかも」という不安をお持ちで、お店側も「ぜひ背中を一押しして差し上げたい」と願っている、という場面を想定してください。
この場合に「クーリングオフ制度」が規約の中にあれば、
「当社の契約は●日以内でしたらペナルティなしで解約できます。」
「今日一旦契約をして、次の週末に今一度お越しいただいて最終結論をいただくというのはどうでしょう?」
「そうしたら平日の間に他のお客様に押さえられてしまう危険性はないですし、もし心変わりしてもお客様にはなんの負担もありませんよ」
という、双方の利害が一致するような案内が可能となります。
(もちろん契約の拘束力が弱くなるというマイナス点もありますので、BRIGHTとしてこの条項のを導入すること自体を推奨しているわけではありません。)
このような観点から、義務としてではなく、選択肢の拡大という観点で「クーリングオフ」を敢えて活用することも考えられます。
いかがでしたでしょうか?
「クーリングオフ」についてのご説明でした。
お役に立てていれば幸いです。
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