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BRIGHT NEWS vol.155 施行直前「フリーランス保護法」の注意点 最終案内

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あと2週間。『フリーランス保護法』の禁止事項を総ざらい


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ブライダル業界内の取引関係に大きな影響を与える『フリーランス保護法』の施行日までの期間が、あと2週間と迫りました。


このメルマガが施行前の最終案内となりますので、今回は是非ともご注目をいただきたい最重要ポイントをご説明しますね。


それは、2024年11月1日以降、フリーランス(「個人事業主」のみならず「ひとり社長の会社(=社長の他に役員も従業員もいない会社)」を指します。)に対して業務を委託する事業者に課せられる以下の禁止事項です。

※業務の発注者自身もフリーランスの場合にはこの禁止事項は適用されません。


フリーランスに業務を委託する事業者には以下7つの禁止事項が課せられています。

(1)受領拒否

(2)報酬の減額

(3)受領後の返品

(4)買いたたき

(5)商品やサービスの利用や購入の強制

(6)不当な経済上の利益の提供

(7)給付内容の変更ややり直し


いずれも注意しなければならないのですが、ブライダル業界の実態を踏まえて特に注意が必要な3点を深掘りして解説いたします!


まず1つ目は「(5)商品やサービスの利用や購入の強制」の禁止です。これはたとえば、会場からパートナーであるフリーランスに対して、おせち料理やディナーショーチケット等を強制的に購入させることが該当します。


※会場がフリーランスに対しておせち料理等を案内すること自体は違法ではなく、強制的に購入させるのが違法となります。誤解なく。


この禁止事項を検討する上では「どこからが強制になるのか?」の判断基準が気になるところですが、この点、公正取引委員会は「事実上、購入または利用を余儀なくさせていると認められる場合も含まれる」として、『取引先を選定する権限がある者からの要請』や『断られた後に重ねての要請』だけでも強制性が認められるおそれがあると例示しています(令和6年5月31日付「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律の考え方」)。

  

つまり、会場側の役員や支配人等「パートナーを選択する権限のある立場の人」が、「ねえねえ、今年もまたうちの『おせち』買ってくれるよね?頼むよ」と要請をするだけでも、強制性が認められることがありうるとしているのです。

「強制」のハードルが意外に低いのでくれぐれもご注意ください。


次に2つ目としては「(6)不当な経済上の利益の提供」の禁止があげられます。これはたとえば、不当に協賛金の支払いを求めたり、無償または著しい低額をもってサービスの提供を求めたりすることを禁じる規定です。


この禁止事項を検討する上では「どこからが不当になるのか?」の判断基準が気になるところですが、この点、公正取引委員会は協賛金の支払いや無償サービスの提供がフリーランスにとって直接の利益とならない場合には、「利益を不当に害するもの」として問題となるとしています(同上)。


ブライダル業界においては、会場がブライダルフェアを独自に開催する際にパートナーへの協力を要請するケースが珍しくありません。その際に適正な対価が支払われていれば全く問題ないですが、過度に低額であったり無償であったりする場合において、パートナーが商品やサービスを提供することに「直接の利益」が見出しがたい場合には不当性が認められ得るということです。

公正取引委員会は「今までずっとこうだったから」「同業他社みんなそうだから」という言い訳は一切聞かないと各種説明会において公言していますので注意が必要です。


最後の3つ目は「(7)給付内容の変更ややり直し」です。新郎新婦の都合によるものであっても、会場からフリーランスへ一旦発注した業務を後から中止または日程変更することがこれにあたりまして、キャンセル料の支払い等による適正な補償がないと違法となりえます。


この禁止事項に対しては、会場もキャンセルの事情によっては新郎新婦にキャンセル料を請求しない場合もあり、その場合までもフリーランスには補償が必要というのはあまりに会場に酷なのではないか?という質問をよく受けます。会場側の気持ちはよく分かります。

この点、公正取引委員会はコロナ禍の際に下請法に関して考え方を示していて、それによると、新郎新婦と会場との契約と会場とパートナーの契約とは別物であって、原則として前者の事情は後者に影響しないとしてます。つまり、会場が新郎新婦に対していわゆる「神対応」をするのは自由ですが、だからといってそのしわ寄せをパートナーに与えてはならないということです。


日本経済新聞等の報道によると、11月1日以降公正取引委員会は全国のフリーランスに対して実態調査を行い、特に問題があると認められる業界に対しての調査や指導を強める方針とのことです。

私たちのブライダル業界がそんな恥ずかしい対象としてさらされることのないように、そしてブライダル業界内の取引関係がこれを機により適法化・適正化されることを心から願いまして、「フリーランス保護法」施行前の最後の案内を終わります。


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